生薬とドーピング

生薬とは、薬用になる天然の植物、動物、鉱物、菌核などを乾燥したものです。

その生薬を組み合わせたものが漢方処方製剤です。

漢方薬で、有名なのが風邪の引き始めに有効な葛根湯です。

一般の方は、身体を温める作用や、気管支を広げてくれる作用があり有効的な漢方薬ですが、アスリートの方はちょっと待ってください!

もしかすると、ドーピング検査で引っ掛かるかもしれないです!

 

禁止薬物の種類

主に生薬のドーピングで引っ掛かる可能性のあるものは、身体を興奮させてくれる興奮薬筋肉をつけやすくするタンパク同化薬気管支を拡張して呼吸を楽にするβ2作用薬に分かれます。

それぞれの種類ごとに説明していきます。

興奮薬(競技会時禁止)

・マオウ(麻黄)
マオウ科のマオウの地上茎を乾燥させたものです。
医療用のエフェドリン塩酸塩の原料でもあるエフェドリンを含む生薬です。
(エフェドリンとは、交感神経を刺激し興奮させる物質です。)

・ホミカ
フジウツギ科の高木マチン (馬銭) の成熟した種子です。
ストリキニンという心臓の収縮力を高める物質が入っています。

・ハンゲ(半夏)
サトイモ科のカラスビシャクのコルク層を除いた塊茎です。
アルカロイドのコリン、脂肪酸類、シトステロールの配糖体、エフェドリンなどが含まれています

タンパク同化薬(常時使用禁止)

・ロクジョウ(鹿茸)
シカ科のマンシュウアカジカの雄の角化していない幼角ものです。

・ジャコウ(麝香)
シカ科のジャコウジカの雄の腹部にある香嚢(ジャコウ腺)から得られる分泌物を乾燥した生薬です。

・カイクジン(海狗腎)
アザラシ科のゴマフアザラシ、アシカ科のオットセイの陰茎と睾丸を乾燥させたものです。

β2作用薬(常時使用禁止)

・ブシ(附子)
キンポウゲ科のハナトリカブトの根を滅毒加工したものです。
心筋の収縮力を高めてくれます。

・チョウジ(丁子)
フトモモ科のチョウジの蕾です。
別名クローブともいいカレー等の香りつけに使われたりします。この香り成分はオイゲノールと呼ばれます。
メインの作用は香りによる胃の動きをよくする作用ですが、オイゲノールは気管支を広げてくれる作用があります。こちらの作用がマズイようです。

・サイシン(細辛)
ウマノスズレクサ科のウスバサイシンの根です。
鎮痛、鎮咳、利尿作用等もあるとされています。

・ゴシュユ(呉茱萸)
ミカン科 のゴシュユの成熟果実を乾燥したものです。
腹部の冷痛、頭痛および虚寒による下痢などにも効果があるとされています

・ヒゲナミン(ノルコクラウリン、デメチルコクラウリン)
イボツツラフジというハーブの一種からとれる物質です。
強い強心作用、気管支拡張作用があります。
のど飴などにも含まれるので注意が必要です。

実際の商品

いくつか、実際の商品で含まれているものを紹介します。

葛根湯

葛根湯のメインの成分は、カッコンとマオウになります。

競技会中は禁止になるので注意です。

栄養ドリンク

これは、少し値段の高い栄養ドリンクです。

タンパク同化作用のあるカイクジン、ロクジョウが入っています。

ドーピングに引っ掛からない栄養ドリンク
安い栄養ドリンクです。
安い栄養ドリンクは基本的にコストを抑えたいので、生薬を入れているものは少ないです。
安い栄養ドリンクの有効成分は主に、アミノエチレンスルホン酸(タウリン)、ビタミンB群、カフェインにより疲労回復をはかります。

医薬部外品と書かれているものを選ぶのが安全かと思います。

ただし、実際に飲む場合は必ずチェックをしてください。

 

編集後記

※禁止薬物は毎年更新されて追加されています。
現在は大丈夫でも、これから先にアウトになる可能性は大いにあります。
アンチドーピングはあくまでも、自己責任になりますので、大会にでるアスリートは自分が口にするものは細かくチェックし新しい情報を積極的に知る必要があります。

ですが、多くの人は大会に出たりすることは少ないと思います。

そういう人にとっては葛根湯や、栄養ドリンクというのは疲労軽減したり、風邪を早く治したりするには、有効的な手段だと思いますので適宜使う分にはいい方法だと思います。

うまく利用して健康の増進を図りましょう。

最後までお読み頂きありがとうございます。