今回のテーマは、近年話題になっている糖質制限ダイエットについてです。
今回参考にした本です。
少し前までは、脂質の摂り過ぎが肥満や生活習慣病につながると言われてきました。
しかし、脂質を制限しても心筋梗塞の発生率は変わらず、むしろ糖質を増やすと発生率が上がってしまうとう結果がでています。
ということは、脂質よりも、糖質が悪いのではないか?という、考えを元に糖質制限について研究が進んでいます。
日本での糖質制限の歴史としては、まだ浅く2004年に江部先生によって初めて医学の論文にのりました。
そこから、色々な報告もあり、徐々に世間に広がってきています。
糖質制限食で期待される効果、体重が減る理由、実践方法を紹介していきます。
糖質制限食で期待される効果 |
1.血糖値の正常化および糖尿病の合併症予防
正常な人の、空腹時血糖は100mg/dl以下です。
糖質1g摂取で1mg/dl上昇するといわれています。
糖尿病の方なら3mg/dlも上昇します。
正常な人でも、通常の食事をすると、食後の血糖値が140~180mg/dlになります。この値は血管を傷つける可能性のある値になります。
つまり、健康な人でも糖質を摂ると、少しずつですが血管を傷つける可能性があるという事です。
糖質制限食は、糖質を減らすため、食後の血糖の急上昇を抑えることができます。
これにより、血糖値が安定します。
そのため、血液中を回る糖が減り、血管を傷つける可能性も減ります。
更に、血管を傷つける可能性を減らすということは、三大合併症といわれる、網膜症、腎臓障害、神経障害も予防できます。
2.ガンの予防
・2005年のアメリカ糖尿病学会で体内のインスリン濃度が高くなるとガンの進行や死亡率が高まると示唆しています。
・2007年厚生労働省研究班は、インスリンの値の高い男性は最大で3倍ガンになりやすいとの研究を発表しています。
現在のところ、糖質制限によるガンの予防のメカニズムは明確にはわかっていません。
ですが、がん細胞の特性が関与しているのではないかと言われています。
その特性とは、がん細胞はブドウ糖しかエネルギーとして使えないという特性です。
糖質制限食を実践することにより、血液中のブドウ糖濃度を下がり、がん細胞を兵糧攻めの様な状態にします。
それにより、ガン細胞の増殖を防げるのではないかと、考えられています。
糖質制限で体重減少する理由 |
1.身体の脂肪を使いやすくなる
人間の主なエネルギー源が糖質と脂質です。
糖質の過剰摂取で、糖質ばかりエネルギーとして使われて、脂肪をエネルギーとして使う仕組みが働きにくくなります。
2.インスリンの分泌を抑制する
糖質を摂取すると。インスリンという物質がたくさん出ます。
このインスリンはタンパク質の合成などもしますが、脂肪の合成も行います。
過剰に糖質摂取=大量のインスリン分泌⇒脂肪合成につながります。
ですので、糖質の摂取を抑制できればインスリンの分泌も抑えられ事になります。
3.糖新生がおこる
糖新生とは、身体の中に血糖が低下した時に肝臓で、脂肪(グリセロール)、アミノ酸、乳酸を等から血糖を作り出す作用です。
最初は、グリセロールからエネルギーにして、それでも足りない場合はアミノ酸を燃やします。
4.消化吸収されるときのに使われるエネルギーの差がある
栄養素は、消化吸収するためにエネルギーを使います。
摂取したエネルギーが全部が身体のエネルギーにならず、多少のロスがあるということです。ロスの割合は次の様になります。
糖質 4%
脂質 6%
たんぱく質 30%
糖質、脂質は、ほぼ変わらないくらいですが、たんぱく質は消化吸収によりエネルギーを使うのです。
糖質制限食では、糖質を減らしてたんぱく質、脂質の割合を増やします。
脂質はあまり関係ありませんが、たんぱく質が増えますので、よりロスの割合が増えて体重減少が考えられます。
糖質制限の実践 |
現在、アメリカ糖尿病学会では「1日糖質量130g以内の食事」を糖質制限食と定義しています。
糖質制限食の基本的な食事の考え方
「糖質を減らして、タンパク質、脂質を増やす」
よくある糖質制限の失敗で、今までの食事から単純に糖質だけを減らしてしまう方法です。
それをしてしまうと、エネルギーが完全に足りなくなり、頭がボーっとしたりします。
減らした分の糖質はしっかりとタンパク質、脂質を増やして補う必要があります。
特に、タンパク質が不足すると筋肉が落ちてしまいますので、意識してしっかり摂りましょう!
一般的によく食べられていて、タンパク質の多い食材としては次のようなものがあります。
食材名 | 1回あたりの量 | たんぱく質量 | 脂質 |
鶏の胸肉 | 100g | 22.3g | 1.5g |
豚のもも肉 | 100g | 21.5g | 6.5g |
納豆 | 40g | 6.6g | 4.0g |
たまご | 50g | 6.2g | 5.2g |
紅鮭 | 100g | 22.5g | 4.5g |
肉類、魚類、大豆製品、乳製品は全体的に高いタンパクが含まれている事が多いです。
この他にも高タンパクの食品はたくさんあるので、調べてみてください。
次に、糖質の多い食材の代表として、次のようなものがあります。
食材名 | 1回あたりの量 | 糖質量 |
白米 | 150g | 55g |
食パン | 60g(1/6切れ) | 27g |
うどん | 250g | 52g |
そば | 170g | 42g |
スパゲティ | 200g | 56g |
ご飯を三食食べるだけで、一日150g以上になっていしまいます。
さらに、味付け次第では糖質がもっと上がってしまいます。
(ケチャップで味付けしたり、ジャムをぬったり等)
味付けは、カロリーの発生しない塩味か、お酢など酸味の味付けがお勧めです。
軽めの糖質制限を行うでも、一日のうちに一食は糖質を抜かなければ糖質制限ダイエットはできません。
江部康二先生は、糖質制限を3タイプに分けての実践を提唱しています。
自分にあったスタンスで実践してみるといいと思います。
糖質制限タイプ
①スーパー糖質制限
朝、昼、晩の3食とも主食の糖質を摂らない。
糖尿病、ダイエットの効果が3タイプの中で一番高いです。
②スタンダート糖質制限
朝、昼、晩の3食のうち2食の糖質を摂らないで、1食だけ主食を摂る。
ただし、白米等、吸収の早いものではなく、玄米等吸収が遅い主食にします。
③プチ糖質制限
3食のうち、1食(基本的に夕食)だけ糖質を摂らない。
軽いダイエットには、向いています。
糖尿病の改善には向きません。
まとめ |
・健康のためには、脂質の制限よりも糖質過剰に注意。
・筋肉維持のためタンパク質は、減らさない様にする。
・実践には、3食のうちに何食減らすか。目標によって変える。
編集後記 |
今回、糖質制限について調べてまとめてみました。
すべての内容を書き切れてはいないので、時間があれば実際に読んでみ頂ければなと思います。
私の個人的な考えですが、筋肉をつけたい、身体を大きくしたい等の運動選手のような目標のある人は、しっかり糖質を摂って身体を強くする必要があると思います。
しかし、一般の事務職で一日座って仕事をする人などは、3食糖質を摂ると糖質過剰になりがちです。
なので、気軽に始められる夕食だけ糖質を制限するという方法は、健康維持のため非常にいい方法だと思います。
※医師の治療を受けている際には、医師と相談してから行ってください。
体質によっては適していない場合がありますので、自分の身体と相談しながら無理なく試してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございます。