上腕二頭筋長頭
上腕二頭筋は、力こぶの筋肉で肘の曲げ伸ばしのイメージが強い筋肉です。
ですが、実際は肩の関節から始まっているので、肩の動きにも作用します。
特に、上腕二頭筋長頭の方が肘の動き、肩の動き、肩の動きの安定化など多岐にわたる作用と構造上非常に痛めやすい部位になっています。
今回は、上腕二頭筋長頭に関して解説していきます。
基礎解剖学
起始 | 停止 | 作用 | |
上腕二頭筋長頭 | 肩甲骨の関節上結節 | 橈骨粗面、上腕二頭筋腱膜 | 肘:屈曲、回外肩:外転、内旋、屈曲 |
上腕二頭筋短頭 | 烏口突起 | 橈骨粗面、上腕二頭筋腱膜 | 肘:屈曲、回外 肩:屈曲 |
プロメテウス解剖学アトラス 引用
上腕二頭筋長頭の肩関節・肘関節に対する作用
1.肩関節外転作用
上腕二頭筋長頭には外転作用もあり、外転の20%は上腕二頭筋が関与しているともいわれています。
2.骨頭の安定化作用
上腕二頭筋長頭は外旋位になると骨頭を上から包み込むようになり、骨頭が上に突き上げるのを防いでくれます。
これにより肩のインピンジメント症候群の予防になります。
3.肘関節の屈曲・回外作用
肘の屈曲をして、力こぶを作るのは有名です。
同時に手を外側に回す、回外作用もあります。
上腕二頭筋長頭の断裂があると、屈曲力15~20%低下、回外力2%低下するという報告があります。
上腕二頭筋長頭腱炎
上腕二頭筋長頭は、上腕骨の大結節といわれる外側の出っ張りと、小結節といわれる前側の出っ張りの間の溝の結節間溝という溝を通ります。
肩関節は、外転運動の繰り返し等で上腕二頭筋長頭は小結節の部分で擦れます。
これが何度も繰り返すことで、腱に炎症を起こし痛みが発生します。
これが、上腕二頭筋長頭腱炎です。
対策
急性期
これは痛めてから間もない時期です。
ジンジンした痛みで動かすと痛くて、黙ってても痛むこともあります。
受傷直後から2日くらいが目安ですが、症状によっては、1週間以上痛みがつづくこともあります。
この時期には、トレーニングをしたりストレッチをしたり動かすことは控えた方がいい時期です。
アイシングをしてあげて安静にします。
慢性期
痛めてから時間経過したものです。
運動してる最中や、終わってから痛みが出現してくる状態です。
この時期は、温めて血行を良くしたりストレッチをよくすることで組織の回復を促進・運動性の向上を狙います。
黄色の部分を伸ばします。
30秒を目安に行ってください。
トレーニングでは、高重量での外転・外転運動は控えます。
特にバックプレス等は、柔軟性の低い方は控えた方が無難です。
上腕二頭筋長頭は、肩の運動に関しても、肘の運動にも重要な作用をします。
痛めてしまうと治るのに時間がかかってしまいます。
なので、肩の痛みに関しては慎重に対応しましょう。
なかなか痛みが取れない場合、整骨院か整形外科を受診することをお勧めします。
最後までお読み頂きありがとうございました。
参考文献
・プロメテウス解剖学アトラス 「医学書院」
・柔道整復学理論編 「全国柔道整復学校協会」