ビタミンシリーズ第2回です。
今回のビタミンはビタミンB1です。
ビタミンB1の解説
作用 | 糖質の代謝に関与 |
特徴 | 水に溶ける、アルカリに弱い |
過剰症 | 基本的にない |
欠乏症 | 脚気、ウェルニッケ脳症 |
ビタミンB1の厚労省推奨量
成人 | 0.54g/1000kcal |
妊婦初期 | +0.023 mg/日 |
妊婦中期 | +0.11 mg/日 |
授乳婦 | +0.2 mg/日 |
ビタミンB1の推奨量は、一日どのくらいの食事をするかによって必要量が変わってきます。
ビタミンAのように男女で決まった量ではないのです。
男性で2500kcal摂取するケースで1.35mg
女性で2000kcal摂取するケースで1.08mg
アスリートで一日に4000kcal摂取するという人なら2.16mg
このように、ビタミンB1は一人一人の摂取目安は変わってきます。
概要 |
ビタミンB1は別名チアミンと言われています。
主な作用として、糖質をエネルギーに変える補助的な作用をします。
昔はビタミンB1により、脚気といわれる全身の倦怠感(特に下肢)があり、膝蓋腱反射が消失したりする症状が出現します。
※膝蓋腱反射とは、膝の下のくぼみを叩いたら自然と膝が伸びる反射です。
現在では、栄養状態が改善されほとんどみられなくなりました。
作用 |
1.炭水化物からエネルギーを作り出す作用
炭水化物(ご飯、うどん等)は分解され一番小さいブドウ糖になります。ブドウ糖がエネルギーになるときに、ブドウ糖がピルビン酸という物質に変化します。ピルビン酸はさらにアセチルCoAという物質に変換されます。このアセチルCoAから、エネルギー物質がつくられます。
ビタミンB1は、ピルビン酸をアセチルCoAに変換するときに働いています。
※クエン酸回路とは、脂肪や糖分を分解し、最終的にエネルギーに変換するシステムのことです
2.脳内の神経伝達物質を正常に保つ働き
神経や脳の栄養分は、ブドウ糖が使われます。
1の作用により、神経や脳細胞にブドウ糖を供給してくれます。
中程度のアルツハイマー型認知症の患者にビタミンB1誘導体 (体内でビタミンB1に変化する物質)を1日100 mg投与したところ、12週間で症状の改善がみられた、という研究の報告がありアルツハイマー型の治療に効果があるのではないかと期待されています。
特徴 |
1.ビタミンB1は水に溶ける性質
豚肉は比較的B1が多いですが、調理法次第で摂取量が変わってきます。
良い調理方法
豚汁・・・豚肉のビタミンB1が溶け出した汁を飲むことにより効果的に摂取可能になります。
悪い調理方法
豚しゃぶ・・・ビタミンが沸騰したお湯の中に逃げ出してしまうので、うまくビタミンの摂取ができません。
2.アルカリに弱い性質
豚肉はアルカリ性に弱いです。
そのため、鶏肉を柔らかくする方法で紹介した重曹に漬けると、肉は柔らかくなりますが、ビタミンB1の効果は失われます。
重曹漬けは、豚肉にはお勧めしません。
ビタミンB1を多く含む食材 |
ビタミンB1多く含む食材には、ウナギ、豚肉等があります。
・ウナギ100gあたり0.75mg
・豚肉(肩ロース)100gあたり0.66mg
吸収率をアップさせる方法
ニンニク、玉ねぎなどに含まれるアリシンという物質と、ビタミンB1が合わさるとアリチアミンといわれる物質に変化します。
ビタミンB₁(チアミン)+ アリシン = アリチアミン
このアリチアミンは吸収の効率がよくなり、よりB1の効果を引き出します。
玉ねぎと豚肉炒め等は味がいいだけでなく理にかなっている料理だったのです!
過剰症 |
基本的にないとされていますが、50 mg/kg体重/日以上のチアミン塩酸塩の慢性的な摂取は成人において、 様々な毒性を示唆する臨床症状を示すことが報告されています。
10gのチアミン塩酸塩 を2週間半の間、毎日飲み続けたら、頭痛、いらだち、不眠、速脈、脆弱化、接触皮膚炎、かゆみ が発生したが、摂取を中止したら、2日間で症状は消えたことが報告されてます。
しかし、10g(10000mg)のチアミンをとるには豚肉を一日に1000kg以上食べなくてはいけないので、通常の食事ではまず超えることはありません。
医薬品のアリナミンex等でも、1日で100mg程度なので普通の摂取では、まず出現しません。
アリナミンex等を毎日一瓶(300錠)飲み干すのを、2週間続ければこの症状が出てくる可能性があります。
まず、あり得ないですね( ´∀` )
欠乏症 |
・神経炎や脳組織への障害が生じる。
➡神経組織のほとんどは、グルコースをエネルギー源としています。
そのため、B1不足によりグルコースを作ることができなくなり神経に障害をきたすと考えられています。
代表的な神経や脳の症状として、脚気・ウェルニッケ脳症などがあります。
編集後記 |
ビタミンB1は、あまり有名なビタミンではないのですが運動する人にも、一般の方にも重要なビタミンになります。
糖質の摂り過ぎは、肥満や糖尿病につながりますが、ビタミンB1不足で糖質を使えない状態になり、身体の中で余しても同じようなことになります。
また、運動中にエネルギーが供給されにくくなるため、後半でばてる原因にもなったりします。
過剰に摂取する必要はありませんが、推奨量は摂ることをお勧めします。
でも、食事で毎日摂るには大変とういう人は、ビタミンB群のサプリメントも販売されているので、それをうまく使うのもいい方法だと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。